冬に入る ―十句―
         山内 美恵子
  夫の笑み恃みの介護初秋刀魚

  介護の手労わる湯窓夕月夜

  燈火親し考の枕頭本たかし

  白萩や悲報の返書墨うすく

  会津魂死守せし病夫天高し

  夫に添う救急車八度そぞろ寒

  不治の夫涙乾かず冬に入る

  笑まう夫見たさにりんごケーキ焼く

  秋さぶや病夫坐らせシチュー盛る

  介護の身銀座はるけし冬に入る