花夕焼け ―十句―
              山内美恵子

生かされし夫に添う試歩花明り

花夕焼け眼裏の母に見せてゐし

標(しるべ)の友ご著書も高雅花は八重

牡丹の芽夫のいのちと向き合へり

明日の約よきこときつと花月夜

探梅や夫の杖なる靴を選る

夫の予後信ずる写経初音せり

仁斎の譲りの処世えごの道

夫退院医師ナース一列風まぶし

ぼうたんのほぐるる先や青畳