春きざす―十句―
         山内美恵子

朝寒や夫にくず湯をたつぷりと

すり足の夫にはりつく小春の陽

介護の身銀座はるけし冬に入る

柚子大根ねかせむ吾子の来る日まで

大寒や四の五と病夫むつかるる

指圧師の心もほぐし寒明けぬ

春立つや吾にしるべの畏友あり

介護の手少し労わり女正月

呻吟の一行ねかせゐ小豆煮る

老々の果てなき介護春きざす