きさらぎの光   ―十句―
          山内美恵子

数え日や癌つかつかと兄連れに

兄いまはいのちの音や雪しんしん

あたふたと名のれば目ぱつと冬日落つ

雪しんしん癌に連れられ兄の逝く

死出の旅誂えの和服雪晴るる

棺出(いづ)る冬天空より父母出で来

生き切つた遺影のほほ笑み四温光

父も母も兄も亡き郷雪しまき

年新た兄を呼べども返のなき

きさらぎの光となりて兄天へ