望(もち)の月 ―十句―
          山内美恵子 

書かねばとわが身押し出す初秋かな          

祈ること多き日なり今朝の秋

緑陰を選りて椅子おく夫の試歩

夫病めば庭木もわが手柚子たわわ

新米の友のなみだと汗の香や

ひさかたの親子三人夕月夜

和箪笥の秋日たっぷり娘なき

秋晴れも連れゐるデイの送迎車

息整ひおろす筆先月今宵

多事多端窓より入れむ望の月