さくら満つ  ―十句―
           山内美恵子

 花冷えや夫の喘息連れてくる
 
 鉢が産むふきのたう一つ病夫の掌へ
 
 朝ざくら夫のリハビリぱぴぷぺぽ
  
 白塀にさくらそう添はす道やさし
 
 さくらそう住人のごとほほえみて
 
 花月夜五年の介護つぶやけり
 
 介護には休日は無き花見ごろ
 
 桜餅亡き父母に告ぐ吾子の婚
 
 さくら満つお日柄もよき両家宴
 
 病夫の手撫(な)づりて別るる夕ざくら