〈詩〉
   食の味わい
           高橋 勝

自宅で食事をするのが習わしになっている
だが今日は珍しく
どこかのお店で食べてみようと
少しばかり 胸の高鳴りを覚えながら
僅かばかりのお金を握りしめ 
出かけてみるときがある

うどん つけ汁ラーメン 回転寿司……
どれもが 家では味わい得ない舌触り 
そして 喉越し
ああー 食った 
と車に乗り込んでしばらく運転していると
決まってある種の感覚に襲われる
そう あれは確か――  
アク抜きのされていないタケノコを食べて 
忘れていたボトルの冷や水を飲んだときの
胸に滲み入る ちくちくとした味わい

あの店はいつも車で混み合っているのに
料理に問題があるのだろうか
結局 値段が安いからではないのか
いや 調味料がたっぷり使ってあるからだ
そうであるなら 多少値が張っても
自然食材を使っているお店を選んで
行けば好いだけじゃないか

しかし それが習慣になってしまうと
そこにあえて行かなければ 
物が食べられなくなるおそれがないだろうか
と思うや 風に吹かれる木の葉のイメージ

枝にしがみついていた木の葉が紅葉し
やがて風の流れに右に左に揺れ動き
ついには ある一瞬の風に枝から離れ
宙にいっとき舞いながら 
あるものは地上に落ち さらには寒風に
吹き流されて何処ともなく姿を消し 
あるいは 川面に落ちたものは
波のそよぎに漂って いずかたともしれぬ
とこしえの方に引きずられていく……

多少の不味さ(ん)
と 手間とはがまんして
食後の味わいに気を配るには
身近な素材の手作り料理が
一番にあっているのかな