ああ、上野駅 
                 根岸 保
 私が東京へ行くのに利用する電車は高崎線で、乗り降りするのは行田駅である。都内の目的地に向かうには、これまで池袋・新宿方面に行くには赤羽線で乗り換えたり、終点の上野駅で山手線外回り(東京・品川・渋谷方面)か内回り(池袋・新宿方面)か、地下鉄に乗り換えなければならなかった。
 それが今では、赤羽・池袋・新宿・渋谷・横浜を経由して、平塚・国府津・小田原・熱海方面へ行く湘南新宿ライン東海道線(愛称)と、赤羽・尾久・上野・東京・新橋・品川・川崎・横浜・大船・平塚・国府津・小田原・そして、伊東方面行きの上野東京ライン東海道線(愛称)と開業したので、乗り換えなしで行けるので便利になった。
 もちろん、宇都宮線も赤羽駅で2コースに分かれるが、この線では厨子が終点になっている列車もある。
 まさか乗り換えなしで新宿、横浜、東京、そして小田原、熱海、伊東の各方面に行けるとは思わなかった。便利になったのは良いが、私にとっては喜べない昨今である。その理由は、週に2,3回上京しているが、帰りが大変なのだ。というのは、上野東京ラインの新設で上野駅始発の列車が少なくなったことだ。
 昨27年2月までは、帰り上野駅に10分前、5分前に高崎線下りの13番線、14番線、15番線のいずれかの電車に乗っても、1つや2つ空席があって腰かけることが出来た。それが上野駅始発の電車に乗るには、約1時間前からホームに行って待っていないと席が取れなくなってしまった。
 したがって、いくら回数が多くなっても上野駅は各駅停車の一駅になってしまい、夕方の下り電車は満員である。一度午後6時前後の電車に乗って、押し合い圧し合いにあって懲りたので、遅くなっても上野駅始発列車で帰っている。それに、上り下りを問わず空席のある電車に乗るために、いつも3、40分のゆとりをもって行き来している。今更ながら、年は取りたくないもんだ、と感じている。
 ところで、いつも目にするのが椅子取りゲームではないが、我先に空席を目指す若者や中年者が多い。そして、腰かけるやいなやケイタイを見るか、居眠りするかのどちらかで、下車駅まで頑張っている車内風景を時々見受ける。かくして上野駅は各駅停車駅の一つになった。
 まさに「ああ 上野駅」である。これも年寄りの世迷言か……。