わが生涯学習の歩み                             根岸 保

 私が首都大学東京オープンユニバーシティー(東京・千代田区飯田橋・東京区政会会館3F・飯田橋キャンパス)の生涯学習講座を受講することになったのは、娘にボケ防止のために頭を働かせなければ駄目だと言われ、受講案内パンフレットを渡されたのがきっかけである。平成二十三年八月、私が八十一のときだった。
 早速パンフレットをひもといて見ると、哲学・社会・思想・歴史・文学・古典・芸術・科学・技術・経済・ビジネス・語学(英語,フランス語,ドイツ語,スペイン語,イタリア語,ポルトガル語,中国語,韓国語等あり、それぞれ初級・中級・上級コース)などの分野の講座である。しかも、学びたい、知りたい講座を自由に選んで受講できるのがいい。まさに、オープンユニバーシティーである。
 ここで、講座の仕組みに少々触れると、受講申込書は一期に四講座申し込める。一講座は週一回で四週(四回)を申し込める。一講座は週一回で四週(四回)を全出席で一単位習得となる。したがって、年度ごとに春(4月~6月)、夏(7月~9月)、秋(10月~12月)、そして、翌年冬(1月~3月)の四期に区分されてあるから、いつでも受講できる。
 受講時間は講座によって異なる。
 午前の部は十時三〇~十二時
 午後の部は一時~二時三〇分
      三時三〇分~五時 
 夜の部は六時~七時三〇分
     六時三〇分~八時
 これらの時間帯と受講日は、曜日が重複しないように講座を選んでいる。ただし、夜間は受講したい講座があっても帰りが遅くなるので割愛している。ついでに、通学?は受講時間に遅れなければいいとして、車内が空いている列車を選んでいるので、一,二列車早かろうが遅かろうがかまわない。
 乗車はJR行田駅で上野東京ラインの場合は上野―(山手線)―秋葉原―(中央・総武線各駅停車)―飯田橋駅下車。時間帯によるが、もう一線は湘南新宿ライン東海道線―行田駅―新宿―(中央・総武線各駅停車)―飯田橋駅下車の2コースを利用しているが、どちらも乗車時間は約一時間である。
 これもボケ防止の一環である。余談になるが、帰りは上野駅始発の列車を利用している。
 さて、くどいようで恐縮だが、受講の目的はボケ防止と知的活動(もの書き)を鈍らせないために一年二年と続けている間に、「為せば成る」を感じ始めた。と言うのは、高齢者に対して世間は何かにつけ、マスコミを通して、「年寄りは『だから…』、『やっぱり…』と、十束ひとからげにして云々」している。それ故に悲しい抵抗と知った。
「なせば成る」を生涯学習で学ぶ中で世に知らせたかった。さりとて、十人十色、人生いろいろで年寄りはかく在るべきなんて、言うつもりはない。
 ただ世間から「だから」「やっぱり」年寄りはお荷物だ、非難されないようにと思っているのである。そんなわけで自主自律に心がけつつ学ぶとともに、知的好奇心を持ち続けて「なせば成る」を実践してきた。そこで、参考までに若干受講講座名を挙げると、
 〇関東地方の偉人伝説
 〇百物語を読む
 〇岡倉天心「日本美術史」を読む
 〇江戸・東京の銭湯文化
 〇現代史から見るチベット
 〇リスクの哲学
 〇日本戦没学生の思想
 などがある。すべて自分で選んで受講してきた一部だが、二十三年から始めて四年目の二十六年で取得単位判定の基準四十単位がオープンユニバーシティ独自の単位取得判定の基準に達し、翌二十七年三月にOUマイスター・ブロンズという大学独自の称号を受けた。続けて二十八年度に六十単位を取得し、翌二十九年三月OUマイスター・シルバーの称号を受け、引き続き三十年三月に八十単位取得し、OUマイスター・ゴールドの称号を受けたが、これすべて「なせば成る」の積み重ねの結果である。
 言うなれば、今年八十八だが、学問の世界に“年”は関係ない。学ぶ意欲、知的好奇心が有れば「なせば成る」を自らの力で実現できたので「だから」「やっぱり」に一矢報いたという次第。
 おわりに受講ニュース。芭蕉の奥の細道の旅を老夫婦で学んでいるし、イタリア語を学び単独で現地観光旅行をしている受講者もいる、という学習環境で生き生き人生、充実した日々を過ごしている受講者が多いのに「もう年だから」「今更」とあきらめたら百年目だ。と思いながら学び舎に通い続ける昨今である。